園子温監督の作品としては、初の原作アリ。案の定、原作の設定は大幅に変えてある。最大の改変は東日本大震災を背景にしたこと。被災地でロケしたと思われるシーンが何度も出てくると、生々しすぎる光景に気持ちがストーリーから離れてしまいがちに。同じ芸術家でも音楽を生業にしている人達は、こんな時期に音楽やってる場合か?と自粛ムードだったのに対して、映像を生業にしていると現実の光景を作品に留めておこうと思うものなのかもしれない。
中学3年生の少年と少女が親に見離され、過酷な現実の中で絶望の淵から二人で立ち上がろうとする様が、痛々しくも健気な物語だ。映画ゆえに「百読は一見に如かず」だ。ここで詳細を述べたところで、様々な映画情報サイトで紹介されている内容の転用と、過剰なネタバレになるだけだ。
そんなことよりも、SunHeroが面白いと思ったのはキャスティングだ。園子温作品の集大成と言わんばかりのオール・スター・キャストと評したら大袈裟かもしれないが、吉高由里子や西島隆弘など、ほんのワン・シーンだけの出演という贅沢さ。ファンならガッカリすること間違いなしの少ない出番だ。
かと思えば、「冷たい熱帯魚」でも夫婦役だった吹越満と神楽坂恵が、本作でも訳ありカップルといった感じで出演している。範囲を最近SunHeroが見た映画にまで広げると、光石研は「しあわせのパン」とは真逆の凶暴振りで、芸の引き出しの多さに改めて感心した。
そんな豪勢な脇役陣にも拘らず、主演の若手二人の演技は圧巻だ。海外で賞をもらったのも頷ける。思春期真っ只中の少年少女には過酷すぎる家庭環境にも、グレて一線を越えることなく、罪を償った先の将来を見据えて生きていこうとする姿には感動した。イマドキの15歳って、実際はどうなんだろう?
染谷将太は「ゆり子のアロマ」(当ロッジでは未紹介)で等身大の高校生を、物凄くリアルに演じていた。今回は中学生という設定なので、あれよりも幼く見えて、コッチの映画の方が先に撮っていたんじゃないかと思うほどだった。一方、二階堂ふみは全くのノー・マーク。受賞時の写真とか、一瞬、宮崎あおいかと見間違えたが、本作を見て一層その印象を強くした。
「恋の罪」とは違って、主人公が中学生だけに、PG12程度で済んだので、中学生諸君にも是非ご覧頂きたい作品だと思う。SunHeroだったら、居た堪れず自殺しちゃうだろうな。







