2007年08月14日

安室奈美恵 - PLAY (June 2007)

PLAY(DVD付)PLAY(DVD付)
販売元 : Amazon.co.jp 音楽
価格 :

[タイトル] PLAY(DVD付)
[アーティスト] 安室奈美恵
[レーベル] AVEX GROUP HOLDINGS.(ADI)(M)
[種類] CD+DVD

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安室奈美恵のCDを買ったのは何年振りだろうか?CCCDや還流CD輸入禁止の問題があって、BoA以外のAVEX系のCDを一切買わなくなった時期もあり、すっかり遠ざかっていた。否、それ以前に「小室サウンド」には初めから嫌気が差していた(笑)。

ただ、安室奈美恵には新曲を出すたびに感嘆していたので、“Sweet 19 Blues”も“Concentration 20”も、妥協して中古盤で済ませた。実際、シングルとは全然違うアレンジになっていて、感嘆は簡単に失望に変わった。改めてベスト盤を買う破目になった。どうやらそれ以来の購入のようだ。

小室哲哉の下を離れた安室奈美恵は、すっかりR&B/Hip-Hop路線を邁進するようになっていた。一頃、宇多田もMISIAも小柳ゆきも・・・・少し前までは多くの女性歌手がR&Bテイストの楽曲でデビューし、その現象は「J-POPの次はJ-R&Bの時代」とまで言われたが、どうも単なるブームで終わってしまった感がある。

宇多田はオリジナリティ溢れる楽曲でジャンルを超越してしまったし、MISIAは大ヒット「EVERYTHING」を境に正統派ディーバ路線に転じて、それぞれステータスを確固たるものにした。小柳ゆきをはじめ、R&B路線を続けた連中は、次々に人気が失速して行った。要は多くの音楽ファンが突如R&B路線に飽きてしまった訳だが、ただでさえ右肩下がりの音楽業界はその対応に苦慮したようだ。その後続デビュー組はいきなりR&B以外に活路を求める試行錯誤という試練に晒されることになった。

例えば、セカンド・アルバムでディープなR&Bを展開したSoweluは、“Dear Friends”でポップなサウンドへ極端な方向転換をした。一方、中途半端なR&B指向だったmelody.は、サード・アルバムでKylie Minogueのようなテクノ・ダンス路線に的を絞って、ようやくスタンスが定まった感じだ。初めから蚊帳の外だった中嶋美嘉は、要領が良かったと言うべきか?そんな中、小柳ゆきがCM曲をきっかけに復活してきたのは喜ばしい限りだ。

そういう状況下でも尚R&B路線を探求し続けてきたのが安室奈美恵だ。小室哲哉は確かに安室奈美恵の圧倒的なボーカル・パワーとダンス・パフォーマンスの魅力が両立するスタイルを見出した功労者だが、“Can You Celebrate?”までは豊かな表現力を犠牲にしていた。単に小室サウンドを流布する最高の媒体に過ぎず、主体的に歌っているという感じがしなかった。今の方が断然イイ。本作を聞いて、素直にそう感じた。

1960年代のR&BはRhythm & Bluesだが、1990年代以降復権したR&Bは実はRhythm & Blackなのだそうだ。前者は黒人のやるポピュラー音楽の総称だったが、後者はリズムと黒人音楽のテイストを基調とした音楽=白人でもOKというわけだ。こうしてR&Bがグレイゾーンに入ってしまった今日、黒人音楽の象徴はHip-Hopということになるのだろうか?Eminemが一石を投じたものの、作り手の大多数は黒人だからだ。

そんなテイストまで取り込んでしまったのが、前作“Queen Of Hip-Hop”らしい。試聴した限りでは、様々なダンスビートを盛り込んだユニークなグルーヴ感のある曲が多いという印象で、余りHip-Hopなテイストは感じなかった。CDジャケットもオーソドックスな女性R&Bシンガーの佇まいだ。Suite Chicの方がよっぽどHip-Hopだ。看板に偽りアリとまでは言わないが、実際そういう批判があったらしい。

さて、ようやく本題に辿り着いた(笑)。前作の「反省」というか、あのジャケットからすると「開き直り」から生まれたのが、どうやら本作ということになるようだ。ブログや通販サイトのカスタマー・レビューで誰も触れていないのが不思議なのだが、あの出で立ちはちょっとナチが入ったSMの女王でしょう?前作を酷評した連中は、皆、あの鞭でお仕置きされちゃうわけだ(爆)。

中身の方も看板に偽りナシだった。冒頭から倒錯の愛に身を投じた女性の歓喜の歌だ。シングルで耳にした時には違和感を感じた“Can't Eat, Can't Sleep, I'm Sick”までがシックリ収まっている。コンセプトが明確だから、クリエーターたちも音作りがし易かったのではないだろうか?サウンドも非常にタイトでサディスティックだ。

洗練されたロッキー・ホラー・ショーと評したら、ロッキー・ホラーのファンに袋叩きにされそうだが、普通の愛情行為では満足できなくなってしまった女の歌が続く。倫理観も宗教観も無い日本と違って、アメリカなら間違いなくステッカーが貼られる内容だ。青少年の健全な心の育成を目的に、写真や動画だけでなく、音楽も規制されるアメリカって、なんだかんだ言っても一本筋が通ってますよね?

逆に、CMで気に入って、本作を買う動機にもなったスマッシュ・ヒット=“Baby Don't Cry”のような軽やかなポップス・ナンバーは、居場所が無いんじゃないかと危惧してしまった。若干浮いているような気もしないわけではないが、アルバムの終盤で「お口直し」のような清涼感を与えてくれるようにも思えた。

そして、アルバムは序盤のサディスティックさがすっかり消えて、シンフォニックなキラキラ・サウンドの“Pink Key”でフィナーレを迎える。不思議なことに、聞き終えた時にはなぜか爽やかな印象だ。前作で「ヒップホップの女王」になり損ねたらしいが、本作では「SMの女王」にもなり損ねたようだ(笑)。だが、少なくとも後味のいい、実に見事なアルバムに仕上がっている。

PLAYPLAY
販売元 : Amazon.co.jp 音楽
価格 :

[タイトル] PLAY(通常盤)
[アーティスト] 安室奈美恵
[レーベル] AVEX GROUP HOLDINGS.(ADI)(M)
[種類] CD

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posted by SunHero at 01:02| 東京 ????| Comment(0) | TrackBack(0) | 音楽レビュー(日本) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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