| Thinking Out Loud(初回限定盤)(DVD付) 販売元 : Amazon.co.jp 音楽 価格 : ¥ [タイトル] Thinking Out Loud(初回限定盤)(DVD付) [アーティスト] BONNIE PINK [レーベル] WARNER MUSIC JAPAN(WP)(M) >>Seesaa ショッピングで買う |
直訳すると「大声で考えてる」。アルバム・タイトルを聞いただけで「これは買いだ」と思った。如何にも洋楽にありそうでなかったタイトル、センスいいと思いませんか?ベスト盤を挟んで2年振り、通算9枚目となるBONNIE PINKのニュー・アルバムです。
もっと早くブログで取り上げようと思っていたのですが、いざ原稿を書き始めてみると、書きたい事が沢山ありすぎて、なかなか収拾がつきませんでした。とりあえずアップした初稿も後から随分手を加えてしまい、この最終稿には初稿の痕跡が余り残っていませんね。(苦笑)
さて、本作を取り上げている多くのブログや通販サイトのレビューでかなり評判が良いのですが、中にはこんな批判もありました。1つは余りにもバカバカしい理由だったのですが、もう1つは「言われてみれば確かにそうかも?」というものでした。
バカバカしかったのは「シングル曲が少なくて、つまらない」というもの。アルバムの出来をシングル曲の数で判断するなんてナンセンスだ。確かにJ-POP界では1枚のアルバムに4〜5曲のシングル曲が収録されるのが普通です。本作は“A Perfect Sky”のリアレンジ・バージョンを入れても3曲。CMやドラマとのタイアップも少ない。事前にタイアップを通じて1曲でも多くの曲を知っている方が、安心してアルバムを買えるというメリットはある。特に昨年のベスト・アルバムが初ボニピン体験だったら、慎重になるのも致し方ない。
だが、実際にアルバムを聞いてみて、それでも尚つまらないと感じたのなら、それはシングル曲の数じゃなくて、シングル以外の曲がつまらなかったということじゃないか?ベスト盤でBONNIE PINKの音楽を分ったつもりになっていると陥りやすい勘違いだ。所詮、BONNIE PINKは貴方の音楽嗜好には合致しないということだ。
本作は俄かファンや出戻りファンに対する試金石なのかもしれない。何かのインタビューでそういうファンの期待をアッサリ裏切ったアルバムに仕上がりましたと答えていたらしい。普通はそういうファンを上手く取り込んで、今後の活動基盤が安泰になるようなアルバムを作るものだが、BONNIE PINKは本気で境界線上のファンをふるい落とすようなアルバムを作ったようだ。
確かに一聴しただけでは地味な印象を受ける曲やこじんまりとした曲もある。その際たるものが「慰みブルー」じゃないかと思う。こういう曲をやるのは初めてじゃないが、昨年のベスト盤には無かったタイプの曲だ。音数も少ないから暗くて地味かもしれないが、意味深な歌詞と相俟って深みのある曲に仕上がっている。
これがアーティストの自己満足の域を出ない曲だったら、アルバムに収録しなくても何の遜色も無かっただろうが、アルバムの構成を考えた場合にもどうしても必要な1曲だ。ここから、まるでLed Zeppelinのコピー・バンドが作ったオリジナル曲のようなヘビーでダイナミックな「Imagination」、アレンジを変えてスケールアップした「A Perfect Sky」へと展開していく様は、何度聞いてもカッコイイ。BONNIE PINKがタダの美人シンガー=ソングライターじゃなくて、音楽的アイディアに富んだアーティストであることを聞く度に再認識させられるパートだ。
似たような手法は「坂道」〜「Water Me」〜「Catch The Sun」にも見られる。Hall & Oatesの“Maneater”のような気分がウキウキしてくるようなベースラインの平板なポップス・ナンバーに挟まれたことで、珠玉のバラードはシングル等で単独で聞く以上に感動的に響いてくる。もう一度アルバムを聞くと、今度は平板だと思っていたポップス・ナンバーまでが、前向きな歌詞との相乗効果で光輝きだすような印象を受けた。要は緩急の付け方が小憎らしいほど巧みなのだ。
“Even So”以降アルバムを出す度に最高傑作を更新している。ワーナー・ミュージックへ移籍して、主体的に音楽を作れる環境になったことが功を奏しているのが如実に分る出来映えだ。欲を言えば、NHK-TV「英語でしゃべらナイト」のテーマ曲に起用されたBeatlesのカバーが、ボーナス・トラックとかで収録されていれば、個人的には申し分のない=A Perfect Albumになったはずだ。前作も缶チューハイのCMに起用されたNolansのカバーがアルバム未収録となったので、一応覚悟はしていたが残念だ。
これほど気に入ってる本作にも意外な弱点があった。冒頭で触れたもう1つの批判=音質が悪いというのだ。言われてみればそうかもしれないが、その批評を偶然目にして悲しくなった。主旨は概ねこんな感じだ。
「冒頭の曲からしてくぐもった音で気持ち悪い。アーティストとしてはアナログ感を出そうとしたのだろうが、結果的に音質を犠牲にしていて、拙宅のオーディオで聞くに堪えない作品だ」と。
その方の他のCDレビューをいくつか拝見しましたが、ご自分のオーディオシステムの性能が遺憾なく発揮されるような作品を高く評価している印象でした。音楽って音質が良ければいいんですかね?音楽ファンというよりはオーディオマニアなんですよね、その方は。恐らく随所に盛り込まれたストリングスの音も、その方のオーディオ機器ではクラシックほどの広がりも奥行きも味わいもないのかもしれません。
私は1970年代にTodd Rundgrenのローファイな音楽の洗礼を受けてしまったおかげで、音質の向こう側にある豊かな音楽性をある程度聞き分けられるようになりました。だから、こういう指摘を見つけるまでは、音質面にはほとんど注耳(=注目)しなかった訳です。そもそも拙宅で普段音楽を聞くのに使うのはPCですから、音質を評価できる環境ではありません。
さて、改めてオープニングの「Gimme A Beat」を聞いてみました。確かに高音域の抜けが若干悪い感じですね。でも、この曲、何のCMに使われているのか、ご存知ですか?日産の軽自動車=MOCOですよ。だから、モコモコって感じの音に仕上げたんじゃないでしょうか?au by KDDIのCM曲=「Anything For You」だって、タイトルにAとYou、すなわち、“au”が刷り込まれているじゃないですか!どっちもタイアップを念頭において作られた曲だと思いますよ。深読みしすぎなのかもしれませんが、こういう洒落っ気、私は大好きです。



コメントが大変遅くなってしまいました。
申し訳ございません。
>“Even So”以降アルバムを出す度に最高傑作を更新している。
と、僕も思います。全体的なクオリティは間違いなく上がってきてますよね!ま、初期のファンの方は気に入らないのかもしれないですけど…。
やっぱり何度聴いても飽きないこのアルバムです。
改めてBONNIE PINKの魅力にハマることができる1枚ですよね。
> 改めてBONNIE PINKの魅力にハマることができる1枚ですよね。
正にその通りだと思います。あんなベッピンさんのどこに、こんな才能があるのか、興味は尽きません。(笑)