先日ビー・ジーズのアルバム紹介にかこつけて、世界規模で変貌しつつある音楽業界の一端に触れた。あれはレコード会社再編の話だったが、アーティスト側も業界の構造変化に対応すべく知恵を絞っているようだ。
Radioheadの試みは、相変わらずパッケージ・ソフトの販売も行うが、音楽配信の横並びの定価販売に一石を投じたものだ。引用したニュースだけでは分らないが、購入者が価格を自由に決められるということは、タダでもいいということなのだろうか?下限価格を決めたら、それが新しい定価になるに過ぎないし、タダでもOKなら誰も対価を払わなくなるだろう。
既にダウンロード販売も収益の大きいアルバム単位での購入を推進するため、先行シングル曲を無料で配信するアーティストもいる。シングル曲をダシに使って、アルバムを買ってもらおうという点では、従来からの販売戦略の踏襲だが、思い切ってシングルを無料にしたところが斬新だった。Radioheadはアルバムの価格を自由化した点でもっと斬新だ。音楽配信そのものがプロモーション化した場合、主たる収入は何から得ることになるのだろうか?
レコード会社に見切りを付けられたベテラン勢の中には、自ら原版制作会社を設立して、ダウンロード販売を主軸に音楽活動を続けているものもいる。我が敬愛するTodd Rundgren(a.k.a. TR-i)は専用ブラウザーを開発して、メンバーシップの更新から新曲の配信まで行うようになった。私が8年前にPCを買うことを決心したのも、TR-iが活動の基盤をインターネットに移すことを宣言したからに他ならない。残念ながら、Windows OSへの対応に問題があって、疎遠になってしまった。現在も新規会員の募集は行っていないようだ。
Todd RundgrenがプロデュースしたこともあるXTCも、新曲の発表の場をインターネットに移してしまったため、既成のレコード会社から新作CDが出ることはなくなってしまった。レコード会社側も採算に合わないベテラン勢とはドンドン契約を解除している。単発でCDを出すことはあっても、複数年/複数枚アルバムという長期契約を結ぶことはなくなった。
そんな中、レコード会社に見切りをつけた超大物アーティストの移籍発表が話題になっている。Radioheadの記事中でも言及しているMadonnaのコンサート・プロモーターへの移籍だ。数年後には音楽配信が業界の主流になるという経済学者もいる。レコード会社を介さなくても音楽を発表し続けることができるのだから、アーティスト側が先手を打ってレコード会社に見切りをつけたことになる。
CDのセールスチャートが音楽アーティストの人気のバロメーターではなくなってきてる昨今、大物アーティストの指標となるものはコンサートの興行収入ということになるのだろうか?12月に27年振りの来日が決まった再結成The Policeも、今のところ新曲の予定はない。音楽産業は単にレコード会社の再編に留まらず、業界全体の地殻変動に発展している。





