2008年02月04日

倉木麻衣 - ONE LIFE (January 2008)


今年最初に買ったのはコレです。業界の慣例に従えば、水曜日発売で店頭販売解禁はその前日の火曜日なんですが、本作は1/1(火)発売。年末年始の配送業者の休業の都合もあって、12/27(木)が店頭販売解禁という大幅なフライング・リリースだったようですね。CDが一番売れる土日=それも年末商戦のクライマックスに間に合わせることで、12/26(水)発売の新譜のセールス・レースに割り込んで、オリコン・ウィークリー・ランキングで上位に食い込もうという魂胆は、業界事情を知らない一般ピープルでも容易に察しが付くことでしょう。

1日でも早く手に入れたいというファン心理は分りますが、発売日より早く店頭に並ぶのもレコード会社とCDショップ間の取り決めに従っているだけに、「フライング・ゲット」と呼んではしゃいでいるブログなどを見かけると、微笑ましく思います。その「フライング・ゲット」という和製英語は、一体いつ誰が考え出したのでしょうか。間違った英語ですが、early purchaseとかadvance buyといった表現では伝わらないファン心理が込められていて、英語圏の国々へ逆輸入されたら面白いですね。

さて、倉木麻衣の7枚目のオリジナル・アルバム“ONE LIFE”は、元旦発売以外にもレコード会社の移籍とか色々と験担ぎ(げんかつぎ)をしていますが、同時に色々な意味で原点回帰を図った意欲作でもあります。DVD付きとか複数ジャケットとかいった販売戦略上の仕様を一切排除して、何よりも音楽そのもので勝負してきたことには好感度「大」です。

デンマークや韓国のミュージック・クリエーターの起用が何よりも目新しいですが、そういう曲を序盤に集めてしまったため、聞き始めはインパクト過多な反面、後半は淡白な印象になってしまいがちです。しかも、序盤の新機軸も倉木麻衣がデビューした頃のBritney Spearsみたいな音作りで、普段洋楽を聴かないような麻衣ファンには新鮮でも、ちょっと子供騙しのように思えます。

むしろ、「冬のソナタ」の音楽などで知られる韓国のユ・ヘジュンが関わった“one for me”の穏やかなメロディの方がシックリきます。王道歌謡曲のようなメロディは、言われなければ韓国産だと気付かないほど日本的ですが、洋楽テイストを基調としていた従来の路線から見れば、これも立派な新機軸です。着実にアジア圏に進出している倉木麻衣にとっては、隣国のクリエーターを起用する方がメリットは大きいと思います。

では、一体どこが原点回帰なのかといえば、一番顕著な曲は“everything”です。マイナー調のメロディに乗せて、内に秘めた情熱を切々と歌う感じは、初期の作品に見られた傾向です。それが初期作品の単純な焼き直しになっていないのは、格段に成長した歌唱力によるものです。こういう成長を期待していたのに、どういうわけか風前の灯のようにか細かったデビュー当時の歌声を懐かしむ気持ちが湧き上がってきました。

唯一前作の余韻を留めているのが、最新シングル“Silent love〜open my heart〜”のカプリング“BE WITH U”。新機軸を冒頭に配するという意欲的な構成にしたため、既発シングル曲が中盤に固まってしまい中弛みしたところへ、一抹の清涼剤のような効果をもたらす曲ですが、安室奈美恵の昨年のアルバム“PLAY”での“Baby Don’t Cry”のようにチョット浮いてしまった感じもします。

アルバムの締め括りは、意外にもスタンダード曲。ジャジーなアレンジに合わせてちょっとスイングした歌い方には、ジャズを歌うにはまだまだ青臭いけど、すっかり大人になったのだなという感慨があります。いっそジャズのスタンダードばかりを取り上げたアルバムなんていうのを作ってみても面白いのではないでしょうか?Coco d’Orよりもイイ作品が出来るような気がします。でも、主要ファン層がそういうのを好まないかもしれませんね。

★Best Track=“Wonderland”
“Born to be Free”のアフリカン・リズムに70年代Soul Musicようなストリングスが絡む感じも好きですが、今の気分にはこれが一番フィットします。
posted by SunHero at 00:28| 東京 ????| Comment(4) | TrackBack(1) | 音楽レビュー(日本) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
お久しぶりです。覚えておられますでしょうか??
Mai-K、GIZAファンの裕介です。
今はMai-Kのみになってしまいましたが…

SunHeroさんの名前を検索して探し出しました。
最近自分はmixiで日記とかレビューとか書いててブログは放置気味です…

今回のアルバムは私的には今までの中ではdelicious wayを超えてベストかなって思います。

↓がmixiのレビューで書いた自分の感想なんですが、SunHeroさんと同じようなところもあってビックリしました(笑)


私的にはようやく「delicious way」を超えたアルバムが出たなと思います。

1曲目「One Life」、2曲目「I Like it Like that」を始めとして全体的に洋楽っぽく、特に「One Life」はブリトニーっぽい感じで今までになく新しいなと思いました。

9曲目「secret roses」は今アルバムで一番のお気に入り。
出だしはTLCの「No Scrubs」を彷彿とさせてカッコ良くもそこにはちゃんとMai-Kらしさというものがあります。
ちなみに歌詞の中で、「やばいくらいにぬくもりほしい」という一節で出てくるわけですが、「やばいくらい」という表現がまた新しいなと思いました。

シングル曲も「白い雪」、「Season of love」、「Silent love -open my heart-」、「BE WITH U」がオリジナルバージョンで入っていて、大充実の1枚じゃないかと思います。


またちょくちょく読ませていただいてもいいですか??
Posted by 裕介 at 2008年02月09日 09:40
裕介さん、お久しぶりです。最近はもっぱらmixiなんですね。
と思ったら、新たにブログも続けていらっしゃるんですね。
見つけて下さって、ありがとうございます。お元気そうで何よりです。

RSSリーダーにでも登録していただけると嬉しいです。
ちょくちょくコメントもいただけると、さらに嬉しいです。

裕介さんのレビュー、なるほどと思いました。9曲目がTLCっていうのは特に。私の聞き込みもまだまだ浅いなと実感しました。ちょっと書き直しちゃおうかな?(笑)

歌詞については、突っ込み所満載なんですが、ちゃんと評価すべき点もあるんですね。ついつい批判的になってしまうのは私の欠点です。

近日裕介さんのブログにもご挨拶に伺います。これを機にまたよろしく!
Posted by SunHero at 2008年02月09日 12:18
覚えていてくださって嬉しいです。
最初はmixiもブログも同時にやっていこうと思ったんですが、やっぱりmixiのほうが友達からのコメントも早くて盛り上がっていくんですよね…それでブログも止まってしまいました。
この前ログインしようとしたらアクセスできなくなってて今So-netに原因を聞いているところです。
再開できたらまたmixiの文を移植していこうと思っています。

歌詞の件ですが、うまくは書けないんですが「やばいくらい」という現代口語表現みたいなのが今までの彼女の曲にはなかったものでそこがすごく印象的だったんですよね。

SunHeroさんの突っ込み所満載というのも是非聞いてみたいです。

またよろしくお願いします!!
Posted by 裕介 at 2008年02月17日 14:22
裕介さん、またまたコメントありがとうございます。

「突っ込み所満載」についてですが、まあ、大抵はファン方々の顰蹙を買うようなことです。1つだけお話しますと、「everything」の決め台詞とも言える“because everything”。言いたい事は分るだけに外人にもちゃんと伝わるよう、きちんとした英文にして欲しかったと言うことです。

例えば、“because it's everything”とか。

ただ、あのメロディに余りにもピッタリはまっているんで、everythingを受ける動詞がなくても動詞ようもありませんね(笑)。

それではまた!
Posted by SunHero at 2008年02月17日 20:40
コメントを書く
お名前: [必須入力]

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント: [必須入力]

この記事へのトラックバックURL
http://blog.seesaa.jp/tb/82293236

この記事へのトラックバック

★「ONE LIFE」 倉木麻衣
Excerpt:  2008年一発目のアルバム紹介記事です! 年末にゲットした倉木麻衣さんの7th Album 「ONE LIFE」 を紹介します。 前作 「DIAMOND WAVE」 から約1年5ヶ月ぶり、NORTH...
Weblog: 日本の歌姫たち
Tracked: 2008-02-12 21:10